ILIAS:機能概要

 前のセクションで説明したように、ILIAS Defense Platformは、軍のコアバリューチェーンである運用・維持管理(O&S)をカバーしています。運用・維持管理では、物資、人、予算などのリソースが消費されます。構成管理機能は、多くのプロセスと手順を支える重要な原動力です。

 高価なアセットや高い技術の兵器システム(航空機、フリゲート艦、車両など)の実際の構成状況は以下を定義します。

  • どの程度のどのようなミッションで運用できるか
  • 運用後に必要な整備作業は何か
  • 整備支援のために、在庫からどの物資を提供すべきか
  • 的確に在庫補充するために、調達はどのようにサプライチェーンを管理すべきか
図2:ILIAS Defense Platformの機能概要

 上の図は、ILIAS Defense Platformのコンポーネントを含む、さまざまなモジュールの概要を示しています。これらの機能はすべて、統合的にサポートされています。

 フリート構成は、履歴、現在のステータス(リアルタイム)、計画など、任意の時点のものを参照できます。そのため、ミッションや運用活動の最適な計画とスケジューリングを推進できます。作戦実行後には、デブリーフィング(結果報告)と維持管理活動が続きます。こうして完全なサイクルを達成する「ミッション駆動型の後方支援」が実現します。

図3:ILIASの運用・維持管理機能

運用

 ILIAS運用(Operations)モジュールは、長期的なミッション計画、展開、スケジュール、実行、デブリーフィング(結果報告)、さらにはパフォーマンス計画と記録の管理ためのツールを作戦司令官や後方支援隊長に提供します。

 このソリューションは、輸送、ミッション支援、維持、再展開の導入準備、計画、およびフォローアップを支援します。運用および後方支援に関する情報を集約することで、ミッションクリティカルな装備品を作戦実行地帯で利用できるようにし、配備された部隊が目標を達成できるようにします。また、後方支援拠点の規模を最小限に抑える上でも役立ちます。このソリューションには、通常の訓練活動や実際の作戦経験から知識ベースを構築できるように、展開後に軍が「ループを閉じ」一連の流れを循環させるツールが含まれています。

長期計画と予測

 即応性という目的に基づいて、運用スタッフは長期的な計画を立てます。ILIASでは、主に飛行時間、稼働時間または飛行距離などの主要兵器システムの使用計画に重点を置いています。ILIASは、この使用計画を、より短期の計画や実行と比較するための参考情報として、つまり予算データとして使用し、運用を維持するために介入が必要な時期を予測します。

 使用計画の作成は、個々の物資の初期所要量を定義することから始まります。この初期所要量は、物資の利用状況、使用者のニーズ、その他の外部基準に基づいて定義されます。初期所要量に基づいて、(5ヵ年)計画が評価され、その中で、特定の物資の所要量について予測される変化が提示されます。この使用計画は毎年更新され、次年度の使用計画のベースとなります。すべての使用計画のリストが利用可能です。これらのパラメーターに基づいて、ILIASは実際の使用計画を生成します。使用計画の代表的な例には、各戦闘機の飛行時間の消費に関する(年間)計画などが挙げられます。

図4:長期使用計画

 使用パラメータが設定され、利用可能な合計値が使用年度の各月に割り当てられた後、定義された使用計画に基づいてアセット毎の使用計画を生成することで、使用計画を「確定」することができます。各アセットの使用計画を作成することにより、元の使用計画が確定されます。ただし、新しいミッションコードや新しい数量の機能を追加したり、初期パラメータの数量を変更したりすることで、確定した計画を変更することもできます。

 使用計画は、予算消費量に関する以下の4種類の指標を提供します。

  • Planned QTY(計画量):予算計画によって予算化された量
  • Performed QTY(実行済量):測定値の登録に基づく、アセットが現在まで実行してきた量
  • ETC(暫定推量):使用計画年度の月末までにアセット(または全アセットの合計としての機能)が消費するであろう推量
  • EAC(完了後推量):月末以降に推定される最終的な消費推量。その月のPerformed QTYとETCの合計と等しい。

 運用および後方支援のスタッフ機能では、すべての関連するアセットの現在のパフォーマンス状況と使用計画を確認することができます。

ミッション計画作成

 持続的にミッションを実行するためには、ミッション計画段階で最適なアセットを割り当てることが重要です。綿密な計画立案によって、展開された後方支援の要件と能力との間に生じるずれを防ぐことができます。ILIASは、ミッション計画作成のプロセスをいくつかの方法でサポートしています。

アセットの選択

 部隊レベルでは、ミッションに最適なアセットを選択するための視覚的な分析を提供します。これから行う業務は何か?展開前に実行できる業務は何か?小規模な後方支援拠点でミッションを支援できるか?などの質問を念頭に置いてミッションに最適なアセットを選択することで、ダウンタイムを最小限に抑え、専門的な後方支援の要件も最小化できます。予測を多く立てるほど、計画外の予期せぬ場面でコントロールが容易になります。

図5:アセットの選択

展開計画

 「車輪の再発明(広く受け入れられ確立されている技術や解決法を再び一から作ること)」はよく知られている言い回しです。しかし、防衛業界はこの点にしばしば悩まされてきました。多くの場合、展開を計画する際には、必要なもの/利用可能なものを徹底的に調査する必要があります。ILIASは、フライアウェイキット(FAK)/セイルアウェイキット(SAK)を使用した標準的な展開シナリオを定義できるようにすることで、このプロセスをサポートします。

 特定のミッションタイプやミッション期間に必要な物資の要件は、FAK/SAKで事前に定義されています。ミッション完了後、評価結果を受けてコンテンツを更新することが可能です。ミッションに備えて、軍のさまざまな倉庫からFAK/SAKを自動的に補充することができます。アセットの増減、予測使用量の増減、またはミッション期間の増減のような、標準的シナリオからのパラメータの逸脱も考慮されます。FAK/SAKの戦略的重要性に基づいて、例えば即応部隊(Rapid Reaction Force)をサポートするために、いつでも輸送できるように準備を整えておくこともできます。

図6:FAK/SAKの自動補給

展開

 さまざまなコンポーネントが事前に定義されています。FAKは、複数のトランスポーテーションパッケージ(TPT)から構成され、それぞれMPIN(マテリアルパッケージ識別番号:Material Package Identification Number)によって識別されます。サイズ、重量、危険物の禁止された組合わせなどの要素は、MPINやTPTでアイテムをグループ化するための要素です。これらの要素がすべて事前に定義されているため、展開準備が迅速に実行できます。不足部分はすぐに見えるので、修正措置を講じることができます。

図7:展開

 具体的な展開は、該当するTPTをカバーするMTR(移動・輸送要求:Movement & Transportation Request)によって開始され、TPTごとにSSCC(標準出荷コンテナコード:Standard Shipping Container Code)フォームが作成され貨物に添付されます。その後、区間/ストップオーバーや運送業者を含むルート計画が完成し、承認されます。ドライバーと車両が追加されると、輸送を実行することができます。

 輸送は、バーコード、RFID、GPSを使用して追跡することができます。作戦実行地帯では、ILIASで(一時的な)倉庫として指定されている現地の倉庫で貨物を受け取ります。

航空機運用

図8:ILIAS OPS AIR

概要

 ILIAS OPS AIRは、軍の航空機運用タスク管理、計画・スケジューリング、資格・有効期間の管理、訓練の管理、および報告のために特別に設計されたインターフェイスとツールを備えた統合システムです。航空機運用計画・スケジューリング用のツールでは、必要なリソースと人員のスケジュールを最適化した上で、タスク、ミッション、フライト、イベントの計画を立てることができます。優れたグラフィックスを備えたこの動的なインターフェイスは、リアルタイムの計画を表示し、効率的なスケジューリングを支援します。

 資格・有効期間のインターフェイスは、資格と有効期間の要件を自動で追跡し、適格な人員を保証されたスケジューリングで配置します。また、班員や部隊の資格や即応性についての概要を運用管理者に示します。訓練モジュールでは、複数のプラットフォーム上で複数のシラバス、地上/飛行コースの管理を行うことができ、訓練受講者の進捗状況を確認できます。インストラクタの資格やコースイベントは、部隊計画に自動的に反映されます。

 ILIAS OPS AIRは、単に部隊や飛行隊の運用管理ツールというだけではなく、あらゆるレベルの監督者に対してもリアルタイムの報告を行うことが可能です。防衛能力管理ツールは、用途に応じてカスタムの「コックピット表示」を提供し、部隊、人員、リソースのパフォーマンスに関する最新のステータス、KPI、統計を表示します。

 ILIAS OPS AIRは、現行の人事システム、タスク管理システム、およびレポートシステムと連携することができ、最新のデータセットとシステム間の自動データ転送を可能にします。

計画・タスク管理・スケジューリング

 ILIAS OPS AIRは、長期的な要件、計画、スケジュール、実行の設定から、デブリーフィング(結果報告)やレポート作成に至るまで、運用計画プロセスをサポートします。運用上のコミットメントと訓練要件に基づく長期計画は、運用計画プロセスと部隊のためのガイダンスのベースとなり、これにより追加のタスクが課され、短期計画のミッション、フライト、イベントが計画されます。

 適格な人員や適切なリソースのスケジュールを設定すると、自動的にスケジュールの重複が特定されます。スケジュールに関する情報や変更は、自動的に人員と任務担当官に通知されます。任務担当官は、利用可能な人員やリソースを直接把握することができるデジタルトート(Digital Tote)と短期計画ツールを使用して計画を実行する責任があります。ミッションの実行後、報告データは自動的に班員の資格と有効期間、コースの進捗状況、航空機整備支援に関連付けられます。

図9:ILIAS OPS AIR計画

運用管理

 運用計画プロセスのサポートと最適化に加え、ILIAS OPS AIRでは、リソース、人員、部隊のパフォーマンスに関するステータスをリアルタイムで報告することができます。ワークフローを作成して、プロセスをサポートし、進捗状況を段階的に追跡し、ステータスを報告することができます。競合がある場合、検出して変更を通知します。

 ドキュメントはミッション、フライト、イベント、ワークフローに添付できます。航空機の必須構成は、リソースを管理するための独自インタフェースを持つ整備技術者に通知されます。ILIAS OPS AIRは、航空任務命令(ATO:Air Tasking Order)を受け付けるタスク管理システムや整備システムと連携して航空機のデータを共有することができます。

デブリーフィング

 運用タスクが完了するとデブリーフィング(結果報告)が行われ、評価結果はパイロットの資格記録に追加されます。

 航空機のデブリーフィングは技術的な観点で実施されます。ミッションについて実際とのズレを記録するとともに、飛行時間、サイクル、着陸回数などのカウンターを手動またはインターフェイスを介して更新します。その結果を受け、該当するアセットに対して作業指示が生成されます。

図10:デブリーフィング
図11:飛行後のズレの記録

 ILIASは航空機の構成を正確に把握しているため、デブリーフィング後に、搭載されている部品に対しても使用量を自動で追加します。

カウンター記録の遅延

 コンポーネントの耐用寿命は、その使用に関する情報の正確性に大きく依存します。ミッションに関連するデータが遅れて記録されると(事実の後)、誤った「カウンター」値がもたらされる可能性があります。こうしたエラーは、コンポーネントや装備品が搭載または移設された完成品にも影響します。

 こうした状況は安全率の低下につながりかねませんが、「順序が間違っているデータ」が存在しているのが現状です。たとえば、部品が交換されたにも関わらず、記録されていなかったり、書類が失われたりして、次の詳細な点検まで発見されない場合があります。同様に、展f開時の作業は緊急的に行う必要があり、データが遡及的に入力されることもあります。

 当社のシステムは、パフォーマンスデータを遅れて登録できる機能を搭載しており、このような状況でも安全な管理が可能です。このソフトウェアは、コンポーネント面(例:燃料ポンプ)と機能面(燃料ポンプが収まるエンジンのスロット)の両方から、アセットの交換や増加を時系列で記録します。交換エラーが検出された場合や遡及的なデータ入力が必要な場合、以下を実施することができます。

  • アセットおよびコンポーネントが交換された時点まで使用状況データを戻す
  • コンポーネントを交換する
  • アセットおよびコンポーネントの使用状況データを現在の正しい値にロールフォワードする
  • 整備実施期限とその波及効果を再計算する

 稼働時の不具合が報告された場合には、修正作業指示が作成されることがあります。システムは、作業指示とミッション後の特定のプラットフォーム報告との関係を追跡します。装備品(例:プラットフォームエンジン)のパフォーマンスデータとエラー情報がアップロードされ自動で登録されます。班員は、ミッションのデブリーフィング(結果報告)をそうした電子媒体情報で補足することもできます。

 フリートだけでなく、個々のプラットフォームやあらゆる兵器システムに関する情報が継続的に更新され、整備管理者はそうした情報を要約および詳細形式で閲覧することができます。これらの基準は、支援装備品や設備にも適用されます。また、整備工場まで情報が反映されます。

 司令部レベルでは、部隊やフリートの活動状況、過去・計画されたミッション、さらには運用中のミッションの現状について簡略な概要を提供します。

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