"We've always been bullish on the program's prospects, but admit we're more worried than we have been in a long time," wrote Roman Schweizer of Cowen Washington Research Group.
「Cowen Washington Research GroupのRoman Schweizer氏は、私達が今まで長い間心配してきた以上に、メンテナンスプログラムに関しては、見直しが必要であることを表明しています。」
By THERESA HITCHENSon April 26, 2021 at 5:08 PM
<Breaking Defense is the digital magazine(原文)>
現在DoDは、コスト削減を目指し、ロッキードマーティンから、F-35ジョイントストライクファイターのメンテナンス作業をどのように引き継ぐかを検討しています。
将来のサポートオプション(Sustainment)研究への取り組みは、国防総省のF-35 JPO、プライムコントラクターのロッキードマーティン、エンジンサプライヤーのプラット&ホイットニーで、数多く行われる、課題(問題)解決活動のひとつです。これは、F-35の非常に高い運用コスト、スペアパーツの慢性的不足、非常に深刻な問題を抱えているALISメンテナンスソフトウェア、F135エンジンの潜在的不足状態、並び、ブロック4ソフトウェアの遅延等に関する解決策の検討を含みます。
国防総省は、この夏までに、この調査研究レポートの評価を完了する予定です。“この評価は、このプロジェクトにとって、効果的に役に立つ長期的な維持整備戦略において、どんな保守サービスが良いかどうかの判断を下すためのものです”と、JPOディレクターのエリック・フィック中将が発言しています。この調査分析は、ロッキードマーティンに大きく依存している現在の保守サービス(MRO戦略)を継続する方が、費用対効果が高いのか、それとも、陸海空の部隊整備保守態勢の活用範囲を広げる方に移行すべきかどうかを、DoDに対して報告するものです。この調査結果により、ロッキードマーティンとの将来の長期維持契約の基礎を形成していこうとしています。
現在、ロッキードマーティンとJPOは、F-35運用サポート(2021年、2022年、2023年会計年度をカバーする年ごとの維持オプション契約)を交渉している最中だと、フィック氏は報告しています。この契約は、国防総省が、補用品サポート並び、需要抑制のためのPBL契約を結ぶテナントを掌握するためのバックストップ(チェック機能)として機能すると報告されています。
フィック中将は、下院軍事委員会の小委員会の合同聴衆会で次のように語っています。握手合意(ジェントルマン・アグリーメントと呼ばれる、相手型を全面的に信用して、口頭で合意に達し、握手により誓う契約形態)を締結し、発表することを望んでいたが、この非公式の合意は、交渉時間内では出来ませんでした。
この気の遠くなるような合同聴衆会で、フィック中将は、しばしばこのプログラムに関しての懐疑的な質問に直面しています。特に民主党員は、F-35プロジェクトの複数の失敗と、ジェット機の保守にかかる膨大なライフサイクルコストは、容認できるものではないと発言し、プログラムのはずみに警告ショットを打ちまくりました。民主党員がこうした反対意見を述べる光景は何度も見てきましたが、アナリスト達は、今回は本当に困った問題になってしまうかもしれないと懸念しています。
Cowen Washington Research GroupのRoman Schweizer氏は、今までこのプログラムの見通しに関しては強気でしたが、ここにきて、かなり心配していることは、認めざるを得ませんと、電子メール速報で書いています。議会は、短期的には、プロック4の技術的な問題が修正され、O&Mコストを下げること、長期的には、ロングレンジ航空機(ノースロップグラマンB-21等)または新しい戦闘機(次世代制空戦闘機や無人戦闘機)にかかるコストを下げる為に、予算制限をしていくことなども議論されています。
データの権利とPBL
政府監査院(GAO)の調査準備委員会を率いるダイアナ・マウラ―氏は、メンテナンスの問題が非常に高いF-35の維持費の主要原因になっていると述べています。監査機関は、F-35のフリートの寿命を66年として換算した時、維持費の合計が、約1.2兆ドルになると見積もっています。この、2012年に見積もったベースラインは、着実に上昇をつづけています。研究開発費並び初期調達費、さらにプログラムのライフサイクルを合計すると、1.6兆ドルになっています。マウラ―氏は、現在、OSDや、他の部門で、F-35の維持(オーガニック保守、部隊整備)を受け持つことで、整備請負業者のタスク(責任)の一部を引き受けることを検討していると述べています。
フィック中将が説明したように、元々のF-35維持契約では、ロッキードマーティンが、主に責任を負い、整備関連データ(ロジステックデータ)に対するほとんどの権利を持っていました。当初のプログラム推進ポリシーは、ロッキードマーティンが全てを主導し、その整備システム全体のパフォーマンスの責任を負うという取り組みでした。その為、私達軍サイドが、要求してこなかったことがたくさんあります。それはおそらく、私達が求めていたこととは別の観点で開始され、それらに基づいて、データ配信が行われ、それらのデータをもとにして、報告がなされてきたということではないかと、彼は言いました。
フィック中将は、さらに、ロッキードマーティンは、2019年に、当時の国防総省の調達責任者であったエレン・ロードの机の上に、ホワイトペーパーを落としていったと言及し、それは、彼ら(ロッキードマーティン)が、2021年度から採用される、PBL契約の契約内容の骨子を形成させるためのものだったと主張しています。
フィック中将は、ロッキードマーティンの最初のPBL提案は、国防総省内で多くの反発があったが、それでも当時の主導者は、その提案を、今後の交渉の出発点として、それを採用することを決定したと説明しています。彼の記憶によると、官として受け入れられるサービスとは何か、ロッキードマーティンとして受け入れられるサービス内容とは何かを議論し、ソリューションを見つけていくためのアイデアだったということです。
こうした前置きをして、彼は、2021年度から2023年度までの暫定契約は、2025年までに、飛行時間当たり25,000ドルを支払うという国防総省の長年にわたるターゲットを達成することができるようにする目標を掲げていると述べています。この暫定的なコスト目標は、将来のPBL契約締結の可能性を生み出すためのものです。フィック中将は、国防総省が絶対にやってはいけないことは、将来に向けて設定していくパラメータを、ちゃんと理解しないで、悪いPBL契約に巻き込まれてしまうことだと語っています。
マウラ―氏もまた、何が必要かを真に理解することなく、元の契約に署名したことで、いま国防総省は、F-35の整備プログラムに関して大きな頭痛を抱えていると非難しています。
彼女は、議員に、これは本来政府主導型のプログラムであるべきで、持続性(サポート業務)に関して今日私達が議論している多くの問題は、プログラムの早期(本来検討すべき時点)に、このことに集中できなかった、してこなかったことに起因していると語っています。
その為、陥ってはいけない深い墓穴へ入り込んでしまっているような状態だと、彼女は、皮肉交じりに伝えています。特にデータに関する権利の問題は、このF-35プログラムを最初から、いろんな方面で深刻に悩ませています。こうした重要な問題は、ベンダーを正しく決定していく能力、さらに、バグに悩ませ続けてこられた、ロッキードマーティン独自のALIS(Autonomic Logistics Information System)と呼ばれる整備ソフトウェアが、スピーディーな補用品の確保が要求されるサービス能力に多大な影響を及ぼしています。
補用品不足、エンジン不足
モーラー氏は、木曜日にGAOのF-35プロブラム評価関連組織が発表した最新のレポートは、“サプライチェーンの問題解決への挑戦が、必要とされる保守体制(Readiness)の整備を妨げ続けている”と不満をのべています。
彼女はまた、“国防総省は、請負業者に、85%の可用性で航空機が飛べる保証をさせるためのスペアパーツの費用を十分に支払っているにも関わらず、そのターゲットを実行する為の十分なスペアパーツがない“とも述べています。昨年のこの問題に関する一部を、世界的に流行したCorvid-19のせいにすることも可能ですが、多くの問題の原因は、システマテックなことだと考えられます―例えば、国防総省やロッキードマーティンが、インターナショナル・サプライチェーンを管理しきれてないようなケースは、貨物が税関を通過する時間をあらかじめ考慮に入れて計画しておけば、簡単に問題を回避できるようなケースが増えているということです。
GAOはまた、“整備員が、必要な技術データにアクセスできない為、航空機の整備に苦労している” ことも分かっていますと、彼女は付け加えています。
F-35プログラムは、スペアパーツの目標を達成していませんが、改善されつつある領域が一つあるとも述べています。それは、スペアパーツ不足を抱えながらも、修理時間を短縮することにより飛べない飛行機数を減少させているということです。
とはいう言うものの、このF-35プログラムは、スペアパーツ不足が原因で、将来的なF135エンジンの潜在的な不足に直面していることに変わりはありません。
プラット&ホイットニーミリタリーエンジン部門の社長である、マシュープロムバーグ氏は、委員会に対して、問題の一部は、国防総省と弊社が、エンジンスペアーの契約に、十分な余裕を持たせなかったことだと返答しています。”このプログラムは、12%のスペアエンジンとモジュールを採用して契約内容を形成しています。これは、エンジンプログラムを構成する約半分に当たり、非常に無駄(ミスをする余裕)がありません“と委員会に伝えています。”少なくとも、ある一定期間、スペアエンジンカーブ曲線が上向きになるまで、スペアエンジンの数を追加することをお勧めします“とも述べています。
しかし、それは、スペアーの数だけがエンジンに関する問題であるというわけでもありません。マウラ―氏は、“GAOは、部隊が予想よりも頻繁にエンジンを飛行機から降ろしていることも発見していて、さらに、主要なエンジン・コンポーネントの修理に、計画したよりも70%長い時間をかけている為、修理のバックログが発生しています“とのべています。彼女は、現行の問題を解決していかない限り、2024年までに、F-35の1/8がエンジン不足となり、2030年には、その数が40%以上になってしまうだろう”と付け加えています。
空軍のF-35統合オフィスを率いるデイビッド・アバ准将は、エンジンの欠如は、すでに部隊の可動率に影響を与えていると述べています。彼は、委員会の議員に、“4月21日現在、合計21機の空軍F-35Aが、任務につけない状態にあり、そのうちの15機は、使用可能なエンジンがないために、飛行できない状態にある“と語っています。
そして、さらにALISの問題が加わります
国防総省も、ロッキードマーティンもその両サイドがALISの問題を修正する為に長年の努力を重ねてきたにも関わらず、GAOは、ALISが、“使いにくく、エラーが発生しやすく、その重要なシステム自体への信頼を損ねているために、それを回避しようとする習慣を作り出している”ことを発見し、報告しています。
ロッキードマーティンは、ALISのソフトウェアシステムの障害(問題)を修正し、EEL(Electronic Equipment Logbook)を使ってタグ付けをし、部品をすぐに使えるようにと、何年も独自の作業を行ってきています。(これは、2019年、6月に実施された国防総省監査局による監査で、詳細に明らかにされている問題です。)
一方、DoDは、独自でODIN(Operational Integrated Data Network)と呼ばれるALISの代替品を開発しています。このODINは、元々、Mad Hatterと呼ばれている空軍のKessel Runソフトウェアファクトリーが率いるプログラムをベースに開発しています。
“ODINの目的は、ただ単にALISのブランド名を変更することだけではありません”とフィック氏は、HASCの公聴会で語っています。“ODINは、新しいハードウェアベースライン、新しい統合的データ環境、新しいアプリケーション、ユーザーインタフェースで、まったく白紙状態から立ち上げた、私達が所有する為の、優れたシステムとなります”と報告しています。さらに彼は、“DoDは、今後5年間で、ALISとODINのコンビネーション(機能するシステムへ移行させるために)に、4億7,100万ドルを投資している”と語っています。
その発言と共に、彼は、“DoDが過去に見積もった、ODINへの移行にかかる時間は、あまりにもロージー(楽観的)過ぎることに気づいた”とも述べています。“従って、JPOは現在、何をすべきかということを見直すことを前提に、また、2021年度の予算削減も考慮にいれて、ODINの計画を再評価している“と語っています。”ハードウェアの観点から、データ環境の観点から、またソフトウェアの観点から、私達が導入したODIN構造が、その利用者(ユーザー)にとって、ユーザーフレンドリーであることを保証する為に、ALISの機能を短期的に改善し続けることが必要である“とフィック中将は語っています。
*下記は、参考文献:
“Replacement For F-35's Troubled ALIS Cloud-Based Brain Rebranded ODIN And Is Still Years Away”
“F-35 Program Dumps ALIS for ODIN”
[アップデート開始]:我々の質問に対して、JPOのスポークスパーソンは、“ALISからODINへの移行を中止したということではありません”と返答しました。そして、広報担当者は、“2021年度に割り当てられた、ODINの研究、開発、テスト、評価への資金が削減された為、JPOは、政府(軍隊)と、その業界パートナーの双方の開発活動のペースを遅らせましたが、停止はしていません”と、そのメールで説明しています。
“フィック中将の書面による説明のように、JPOは、包括的な移行戦略を成熟させながら、最新のODINハードウェアを引き続き、活用していきます”と、広報担当官は強調して伝えています。“私達は、すでに複数のODINハードウェアを調達しており、この夏の後半には、各部隊への展開を開始します。”
さらに、広報担当官は、フィック中将の書面による証言で言及されている“戦略的停止”について、“最新のハードウェア、アーキテクチャー、ソフトウェア開発手段、データ環境、プラットフォームなど、全ての要素にわたって、ALISをODINに進化させるための、JPOの全体的な戦略レビューであると説明し、”このレビューは、2020年度に学んだ、反省とその教訓に従って実施されたものだ“と付け加えています。:[アップデート終了]
ミッション可動率―希望の光が射してきた!
フィック中将は、公聴会で、“悲惨な状況にも関わらず、このプログラムによって、特に任務遂行能力率(Mission availability or Mission Readiness rate)に関しては、進歩がみられていることを強調しています。
彼は、“ミッション対応レート(MC)とフル・ミッション対応レート(FMC)の双方が改善されている”と述べています。(MCは、フライトライン上の航空機の何パーセントが、F-35が実行できるさまざまなミッションの少なくとも一つを実行できるかを表し、FMCは、編成部隊が割り当てたすべてのミッションを実行できる機数のパーセンテージを意味します。)
“2019年から2020年の間にMCとFMCの両方に増加がみられました。しかしあまり大した増加ではありません”とフィック中将はのべています。2019年の平均は、MCの観点では、63.2%から68.5%になっています。しかし、航空編成部隊のFMCは、33.5%から37%への増加にとどまりました。こうした結果は、彼は、“まだ満足できない数値だが、少なくとも望ましい方向には向かっている” とコメントしています。
さらにフィック中将は、これらの数値は、陸海空各軍(サービス)間の格差を隠してしまっているとのべています。空軍自体は、73%を超えるMC並び、54%を超えるFMCという最高のReadiness数値を認識している。そして、これらは、“昨年を10%上回っている”ことを発表しています。
一方、海軍と海兵隊のReadinessレートはかなり悲惨な状態です。“実際のところ、海軍は、昨年より少し後退したと思います。MCの観点では、59%強から、59%弱になっています“と、フィック中将は述べています。フィック中将も、ロッキードマーティンのGreg Ulmer氏も、サポートコスト(維持費)に関しても、望ましい方向(つまり経費節減)に向かっていることを、議員に報告し、安心材料を提供しています。2019年から、2020年の間に、F-35Aの飛行時間あたりのコストは、10%減少し、2012年度のドル価値基準で、飛行時間あたり、37,000ドルから、33,300ドルに減少したとフィック中将は報告しています。
そして、ロッキードマーティンの戦闘機担当執行役員副社長のウルマー氏は、“弊社は、F-35の維持費を根絶する為に、私達の才能とその創育工夫力の全力を注いでいます。過去5年間で、4億ドル近くを投資して、フリート(航空編成部隊)全体のReadinessパフォーマンスを向上させました“と述べています。
以上