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【K02】デジタルツインモデルによるILS/IPSの実現

<装備品維持最適化と任務達成のための統合プロダクトサポート(IPS)>

 後方支援(ロジスティクス)の要諦は、「必要な時期」に「必要な場所」へ「必要な質と量の物資」を準備し、任務遂行に供することにあります。
 様々な技術の発達した昨今、装備品の質や物量のみがもたらす戦力差は、過去のそれと同一でしょうか。装備品の質や物量といった固定値的なパラメーターに対し、限られたリソースである装備品をいかに最大効率に近く運用できるかという変動的な要素が、乗算として継続的に影響してきます。
 本書では、航空機や艦艇、車両などの大型装備システム等のライフサイクル「設計~製造~維持~廃棄」を管理するためのロジスティクスにおけるモデリングの意義を、欧米における現状、事例、考え方とともに紹介します。

第1章 ILS/IPSの目的とBCA(ビジネスケース分析)
第2章 装備システムのロジスティクスサポートと 任務達成指標
第3章 ロジスティクスのモデル
第4章 代表的なLSA分析
第5章 最適化・改善の分析(LSAユースケース)
第6章 PBLの成功要因
第7章 ILS/IPSとデータ国際規格

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<概要の説明>

本書ではロジスティクスサポート(後方支援)の目的である「装備システム」の有効な運用を実現する方法論/概念であるILS/IPS(Integrated Logistics Support/Integrated Product Support)を成功させるために、デジタルモデリングを行うことが重要であるということをお伝えします。

ILS/IPSの目的とBCA(ビジネスケース分析)(第1章)

最初に、ILS/IPSとは何か確認し、LSA(Logistics Support Analysis)分析、BCA(Business Case Analysis)分析などの基本的なロジスティクスの体系を紹介します。

装備システムのロジスティクスサポートと任務達成指標(第2章)

「後方支援」は、装備品やシステム等の部品を修理・交換しながら、装備システムの寿命を最大化させつつ、費用対効果の高い後方支援態勢を立案、評価する活動です。さらに、サポート態勢の変化、装備システムの配備時期(時間軸)等を考慮にいれた上で、任務達成度(KPI/KGI)の向上を目指すといった分析を行う任務もあります。

ロジスティクスのモデル(第3章)

DX時代のロジスティクスサポートはモデルベースの分析を行う方法となります。現実世界と、サイバー空間(コンピュータシステム内)にあるマスモデルは「デジタルツイン」として車の両輪となります。これらモデリングに必要なデータを収集するには、標準化されたデータの定義が必要です。

また、デジタルモデルといっても現実世界をサイバー空間に忠実に再現するには、不断のデータ整備が重要です。そのための装備システムを現状の事務処理系ERPシステムやMROシステムをベースにモニタリングが出来るような改善をしてゆくことが重要となります。

代表的なLSA分析(第4章)

ILSの分析方法論は数多くあります。ここでは、代表的な故障モード・影響・致命度分析(FMEAFMECA)、整備タスク分析MTA)、修理レベル分析LORA)、ライフサイクルコスト分析(LCC)、信頼性・アベイラビリティ・整備性分析(RAM)、訓練ニーズ分析(TNA)の概略を説明します。

最適化・改善の分析(LSAユースケース)(第5章)

モデルを使って、その構成要素である部品(補用品)による改善、整備や修理態勢による改善、装置や部品の設計に遡っての改修など段階的な分析・改善が行えます。どんなケースでLSA分析が役立つのか、例をあげています。

PBLの成功要因(第6章)

ILS/IPSの代替案(ロジスティクス活動)のひとつとしてPBLがあります。PBL戦略は単にシステム調達だけでなく、装備システムの性能と経済性の両面を考慮した戦略です。

ILS/IPSとデータ国際規格(第7章)

主にSシリーズ国際規格とILS/IPSを実現するための要点との関連を解説します。基本的には、ロジスティクスをどのように継続的な改善をしてゆくのかという観点に立って、そのためのLSA分析を行うためのデータ規格の活用を説明します。

【K01】ロジスティクスのILSからIPSへ

 ILS(Integrated Logistics Support)はアメリカがベトナム戦争の大混乱を反省して研究した科学的なロジスティクス活動です。航空機や船舶など大規模な装置・装備システムにおいて、使用者がアフォーダブル(手頃な価格)に運用できるものを設計・開発し、運用・維持するためのフレームワークです。IPS(Integrated Product Support)は後年、設計への関与を強調するために名称を変えたものです。

 この本では、ロジスティクスとは何か定義し、ILS/IPSの国際規格の歴史的発展を概観します。MIL-STD-1388に始まり、昨今注目のSシリーズ国際規格を説明します。その上で、欧米の活用事例や適用の考え方などの紹介を行います。

第1章 ロジスティクス、ILSとは
第2章 ILS概要
第3章 ILS/IPSと国際規格
第4章 装備システムの任務達成指標とLSA分析
第5章 装備システム開発時のデータ戦略と標準確立のタイミング
用語集 参考文献や用語/頭字語など

 ロジスティクスのプロを自認する皆さんにとっても、これから勉強しようという入門者の方にとっても、改めて科学的な整理をするための力になれることを願っています。

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<概要の説明>

ロジスティクス、ILSとは

ILSハンドブック(James Jones著)序章より

最初に欧米のロジスティシャンのバイブルのひとつである「ILS Handbook」より、Blanchard博士による巻頭文の翻訳と、著者James V. Jonesの第1章の説明から骨子の抄訳を掲載します。

ILS概要

ASI社の通信教育教材から、ILSの基本を説明しています。ただし、米国での初期のILS定義のため、最新の分類とは多少差異があります。(ILS要素(エレメント)の数は10ですが、最新のIPS要素数は12に増加しています。)

ILS/IPSと国際規格

ILSの歴史をたどりつつ、原点となるMIL-STD-1388を概説し、米国で現在使われているSAE TA-STD-0017の概要を紹介します。

最も新しい欧州を中心に進められている国際規格Sシリーズでの概要も紹介しています。

装備システムの任務達成指標とLSA分析

「ロジスティクスサポート」は、装備品やシステム等の部品を修理・交換しながら、装備システムの寿命を最大化させつつ、費用対効果の高いロジスティクスサポート態勢を立案、評価する活動です。さらに、サポート態勢の変化、装備システムの配備時期(時間軸)等を考慮にいれた上で、任務達成度の向上を目指すといった分析を行う任務もあります。

DX時代のロジスティクスサポートはモデルベースの分析を行う方法となります。現実世界と、コンピュータシステム内にあるマスモデルは「デジタルツイン」として車の両輪となります。これらモデリングに必要なデータを収集するには、標準化されたデータの定義が必要です。

また、デジタルツインモデルといっても現実世界をサイバー空間に忠実に再現するには、不断のデータ整備が重要です。そのための装備システムを現状の事務処理系ERPシステムやMROシステムをベースにモニタリングが出来るような改善をしてゆくことが重要となります。

装備システム開発時のデータ戦略と標準確立のタイミング

IPSの概要とともに、国内および国際的なパートナーのグループが携わる装備システム等の開発プログラムにおいて、プロジェクト全体のデータ戦略と標準を確立するために理想的なタイミングとその理由を解説します。Allan Goody氏の講演録を編集したものです。

用語集

参考文献や用語/頭字語など、皆様の研究や学習の参考になれば幸いです。